講演記録

エリク・ラスムセン コペンハーゲン気候評議会代表

エリク・ラスムセン
コペンハーゲン気候評議会代表

特別講演

エリク・ラスムセン コペンハーゲン気候評議会代表

このようなすばらしい聴衆の皆さんの前でお話をする機会を与えていただいたことを感謝申し上げます。ご招待に感謝するとともに、朝日新聞はほんとうにすばらしいシンポジウムを用意してくださいました。

大きなマスコミというのは、やはり社会における一大変革の触媒役を担わなければならないということです。これは気候変動の問題について特に言えることです。国際的なメディアが関与しなければ、成功はおぼつきません。ですから、これからもしっかりと頑張っていただきたいと思います。長年にわたる非常に苦しい闘い、厳しい闘い、努力を続けなければ実現しないということです。

最初に申し上げたいのは、我々はほんとうに重大な危機に直面しているということです。我々は政治的な解決能力を持っているのか。グローバルなガバナンスの力を持ち、気候変動の問題に取り組む力と能力をほんとうに持っているのでしょうか。

世界のガバナンスにとっても、気候変動対策というのが最大の挑戦課題ではないでしょうか。新しい協力が必要ですし、短い間にこれまでになくより大きな協力関係を構築していかなければならない。

何をしなければならないのかについて、いろいろなことがもう既にわかっていますが、まだまだやるべきことは多い。最大のリスクは、気候変動そのものではありません。すなわち、変化に対応する力のなさこそが最大のリスクであります。

この大きなリスクが、実は革新の大きな原動力ともなります。その意味からは、我々は楽観的にもなれると思います。今後数年にわたって、技術革新による大きな躍進、必要ば技術革新が起こると思っています。それが私のきょうの話の前提にあります。

もちろん、問題は既にわかっているわけです。例えば、IPCCの報告書をはじめいろんな報告書が出ています。低炭素技術として、新しい革新的な解決策が次々にあらわれつつあります。また、世界の経済コミュニティも用意ができている。投資も増えている。市場のほうからも、持続可能な製品をつくってほしいと求められている。では、何が今欠けているのか、何が不足しているのでしょうか。それは、グローバルな企業同士の連合体がない、マスタープランがない、ということです。

こうした連合体をつくには、従来型の連携ではいだめなわけです。というのも、新製品を出そうというわけではなく、新しい解決策を導き出そうとしているからです。わたしたちの「コペンハーゲン気候評議会」は6つの重要な課題を列挙しています。こういった挑戦課題を解決するためには、新しい種類のパートナーシップが必要です。新しい解決策が必要です。企業が国境を越え、部門やセクターを超えて組織構造をつくり出さなければならない。しかも、ほんとうに短い間につくりあげるのが、我々の課題なんです。

ですから、新しい統合された解決策を見出さなければならないということです。そのためには、ベスト・プラクティスを認識しなければならない。そのめに、既にある技術を使わなければならないのです。新しい技術をつくり出す時間はもうないからです。お互いにコミュニケーションを密にし、政策立案者を誘導していこうということです。これこそがマスタープランであります。

さて、マスタープランが実現されるためには、最もよく考えられた最大限の枠組みを使わなければならない。そして、新しい世界にとっての条約、いわば「コペンハーゲン議定書」をつくらなければならないのです。左側がそろっていたとしても、右側のパートナーシップが形成されなければうまくいかないわけです。長期の投資や革新や技術開発のための枠組みをつくり、障壁をなくしてインセンティブを実施していく。そして、新しいパートナーシップのための可能性を広げていくということです。

これは企業だけの話ではありません。政治の世界もかかわっていかなければなりません。短い間にすべてをつくり直すということです。2009年というのは、重大な時期になります。2009年以降のための合意をするためには、政界もしっかりやってもらわなければなりません。でないと、技術革新や、新しいパートナーシップの可能性が花開かないからです。

真っ先にやらなければならないことは、「グローバル・ビジネス・リーダーシップ」を打ち立てるということです。コペンハーゲン気候評議会はまさにこれをやろうとしているわけです。世界からCEOや企業や科学界や政策立案者のリーダーが集まりました。リチャード・ブランソンさんや、アメリカの有力な科学者、中国の経済界のリーダーなど、27人の人が集まりました。グローバルなビジネスにおけるリーダーシップを発揮していこうということです。

既にかなりの実績ができてきました。まず連携を組むということ、世界の重要な機関と連携を組むということです。気候変動の問題を取り上げている例えば国連のグローバル・コンパクト、WBCSD、世界環境経済人協議会、ピューセンター、WEF、世界経済フォーラム、クライメットグループなど、いろいろな国際機関や国際的な組織と提携しております。コミットメントが必要で、スピードを速く行動をとらなければならない。もうほとんど時間は残ってないからです。

デンマーク政府とも緊密に協力しております。何らかの具体的なアイデアを出してくれと政府から言われております。国際経済界になりかわって代弁するということです。

ですから、まずアクション・プランをつくることになるんですが、幾つかの前提条件があります。リスクをチャンス、機会に変えていくということです。よく言われますが、気候変動は驚異ではない、これは大きなチャンスなのだ、ということです。

もう何十年にもわたっていろいろなチャンスがありました。社会をいわば最初からつくり直すということです。世界経済もつくり直す。そして、新しい持続可能なモデルを提示していくということです。それを緊急に行わなければならない。非常に切迫しているということです。

歴史をみて、これだけ偉大なビジョンを、これだけ短い期間につくり上げようという試みはありませんでした。ときには議論ばかりに終始し、ほとんど時間が残ってないということを忘れがちです。この問題は人類にとっての破滅ではなく、我々には代替案があるし、将来はまだまだ明るいんだということです。

コペンハーゲン気候評議会はゲームプランを立てております。すべてを変えていこう、現実に則した形で変えていこうということです。

まず、ビジネスのパイオニアを関与させていく。そのために「クライメット500」という、世界のフロントランナーを立ち上げます。問題解決のためにベストな企業はどこなのか。このプランは、気候変動のための対策と戦略をとるために、世界のフロントランナー、トップランナーから「500」の組織体をまず特定しようということです。そして、コミュニケーションを密にして、ベストプラクティスだけではなく、ベストに次ぐプラクティスも特定し、世界に対してショーケースとして見せていこうということです。

デモンストレーションを行うことによって、どのように実現していくのか示していきます。今月以降、この500社を選定していきます。意欲を持ってコミットしてもらい、テーブルの上にいろいろなアイデアを出してもらいます。フロントランナーを見定めるということが必要です。